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EnnoconnとGold Rain――戦略提携が「売上の6割」になるまで

戦略投資から経営、製造システム、機器発注へ。4年後、Ennoconn関連の取引はGold Rainの売上高の約6割を占め、両社を切り離すことは容易ではなくなった。

EnnoconnとGold Rain――戦略提携が「売上の6割」になるまで

2022年5月、Ennoconn Corporation(樺漢科技、TWSE:6414)はGold Rain Enterprises(金雨企業、TPEX:4503)へ9,865万台湾ドル(約310万米ドル)を出資した。

子会社Harvatek International Investmentを通じて500万株を取得。当時の持ち分は10.45%で、開示された目的は「戦略投資」だった。

ただし、Ennoconnの年次報告書は、その狙いをもう少し具体的に説明している。同社グループは台湾に自社工場を持たず、一方のGold Rainは既に海外メーカーの認定サプライヤーだった。提携により、ゲーミング機器やスマートリテール端末を含む台湾生産への統制を強められる。

好条件の提携に見えた。そして実際、成果を上げ始めた。

Gold RainはEnnoconnのスマート製造システムを導入。2024年までに顧客認証を取得し、海外ゲーミング企業IGTとATI向けの量産を開始したと説明している。

当時Gold Rainの営業課長補佐だった李國泰氏は、Ennoconnを取り巻くHiAim/HighAimの企業群にも関係すると業界報道で伝えられていた。同氏によれば、提携には既にIGT製ゲーミング機器向け板金筐体が含まれ、顧客は年間約7,500台を見込んでいた。

関係は、株主が株式を取得するだけの段階を大きく越えていた。

彰化にあるGold Rainの工場は、ゲーミング機器や宝くじ端末など大型機器のOEM・ODM事業を築いてきた。提携は次第に、その工場運営そのものへ組み込まれていった。

ここで重要なのは、関係が失敗したから依存が生じたのではないことだ。むしろ、成功したからこそ依存が深まったとみられる。

Gold Rainの売上高は2024年の3億4,620万台湾ドル(約1,090万米ドル)から、2025年には6億6,470万台湾ドル(約2,100万米ドル)へ急増した。前年に7,880万台湾ドル(約250万米ドル)の赤字だった同社は、2025年に1億750万台湾ドル(約340万米ドル)の純利益を計上した。

一社への依存を意図的に選ばなくても、取引の積み重ねで売上の6割を占める顧客は生まれ得る。

提携先が顧客への入口を開き、受注が生産ラインを埋める。数量が投資を正当化し、従業員は特定の工程を習得する。同じ企業群への対応力が高まるほど、無関係な顧客を複数探すより、次の注文を受けるほうが容易になる。

依存関係は、成功した受注が一件ずつ積み重なることで形成される。

その後、人も動き始めた。

2025年3月6日、Gold Rainの幹部3人が同時に辞任した。オペレーションセンター総経理の鍾煥祥氏、副総経理の黃兆榮氏、営業課長補佐の李國泰氏である。

2か月後、台湾経済部はHiAim(Cayman)Technology Holding(英屬開曼群島商力盟科技股份有限公司)の台湾支店を登記し、鍾氏が代表者となった。

これだけで不正行為があったと判断することはできない。

しかし、その後の展開で両社の切り分けはさらに複雑になった。

2026年6月16日、EnnoconnはGold Rainに対し、購買関連契約を8月15日の満了後に更新しないと通知した。Gold Rainは2度説明を求めたものの回答を得られず、8月6日に取引終了を公表したとしている。

この時になって初めて、投資家は一連の出来事の意味を変える数字を知った。Ennoconn関連の取引は、Gold Rainの2025年単体売上高の59.69%を占めていた。

Gold Rainは、代替受注を探して生産能力を振り向ける間、工場稼働率が低下し、売上高と利益に重大な影響が出ると警告した。

その4日後、企業間の決裂はさらに別の局面へ進んだ。

Gold Rain取締役会は鍾、黃、李の3氏に対する法的措置を承認した。同社は、3氏が退職後にGold Rainで得た営業秘密や技術情報を利用し、既存顧客の注文を転職先へ移した可能性があると主張している。さらに、受託者責任、競業避止義務、利益相反規則に抵触した可能性も指摘した。

以上はGold Rain側の主張であり、裁判所が認定した事実ではない。同社の開示は、移されたとする顧客や注文を特定していない。Ennoconnが不正行為に関与したことや、この紛争が契約を更新しない判断につながったことを示す公的証拠もない。

ただ、一連の経緯は、受注が誰へ渡るかより大きな問いを残す。Gold Rainと戦略的提携先の境界は、いったいどこにあったのか。

Ennoconnは投資家であると同時に、顧客であり、販路への入口でもあった。同社を取り巻く企業群と関係する人材が中核業務を担い、Gold Rainは提携を通じて得た関係に合わせて生産体制を変え、ゲーミング機器を製造していた。

契約は終了できる。株式も売却できる。しかし、人材、顧客関係、製造ノウハウを同じように切り離すことは難しい。

Gold Rainの問題は、売上高の59.69%を占める顧客がいたことだけではない。顧客集中は決算書に表れるが、依存の深さは、誰かが離れようとした時に初めて見えることが多い。

ARCHIVE UPDATED · 11 SEP 2026